長距離の出張に出ると、なぜか「慰安旅行感ですかね?」といわれてしまうのですけども、今回は滞在4時間の日帰りということなので、これはもう確実に仕事臭の漂う、仕事臭しかしない、出張報告になるのではないか?と期待しながらこのブログを書いています。
書き始めるにあたり、あらためて鯖江での出来事を思い返してみても、福井名物のソースカツが美味しかったこととか、IchigoJamっていう小さなコンピューターもらってすごく嬉しかったこととか、雑誌MSX FANの思い出話に花が咲いたことなどなど、H2Oか僕かってくらいに思い出がいっぱい。(文末はおっさん向け)
さて、今回訪問した鯖江市ですが、これまで眼鏡フレームのシェア 96%を誇る ”めがねのまち さばえ” として有名でした。
しかし最近では、特に僕のようなIT業界に身を置いているものにとっては、日本におけるオープンデータの最前線としての印象が強いですし、市役所に女子高生を配属したJK課をつくるなど、新しい感覚を持っている町のイメージが定着しつつあるように思います。(オープンデータについて書いた以前の記事はこちら)
三重県が、2月に三重県オープンデータライブラリを公開したということもあって、まずは最前線の空気を感じ取ることだなと思い、中心となって活動されているJig.jpの福野さんにお願いをして機会をいただいたという次第です。
あと、子供たちへのプログラミングを教えるという取り組みをされているPrograming Club Network(PCN)の松田さん、原さんともお会できて、あっという間の4時間でした。
ウェブから伝わってくる感じが大人っぽく取り組んでる印象だったので、レジュメ的なものとかいるかな?とか、やっぱこれスーツかな?とか、準備をしていったのですが、会ってみて感じたのが、僕を含め同世代なんですけども、大きな子供感というか、楽しいからやってる。コンピューター大好き。という感じで、イメージしてたのとは違う方向でしたけど、とても素敵なみなさん。
そして、そのみなさんが一番お熱だったのが、このIchigoJam(イチゴジャム)というプロダクト。
15個弱のパーツをハンダ付けすると、小さなコンピューターが出来上がります。テレビにつないで使うんですが、簡単なプログラミングができてゲーム作ったり、赤外線とモーターをつないでロボットを制御したりできる。お値段なんと1500円。
現在開発中のPancakeというパーツとつなげるとグラフィックス表示したり、四和音の音を鳴らすことができるようにもなります。すごい。
昔、同じようにテレビにつなげて使うMSXというパソコンがあったのですが、空気感がとてもそれに似ていて、その世代のおっさんは間違いなく萌えるプロダクトでした。
しかしながら、2015年を生きる子供たちの反応がどうなのか気になる-と聞いてみると、「ハンダ付けして(1時間かからないそう)画面に文字が表示された瞬間、みんな本当に嬉しそうな顔をするんですよ、だって大人でも嬉しいですもん。」だそうで、なんか分かる気がします。
ちなみに、このIchigoJamを作るというワークショップですが、子供ひとりにつきサポートをひとりつけるという感じだそうで、プログラミングよりも人手はかかるようです。あと、ハンダ付けをミスしても大半は修正できるそうですが、「CPUを逆につけたときだけはどうしようもない、とれない」 ということでした。笑
その他にもIchigoJamのよさとして、自分だけのコンピューターを持てるという点、Raspberry PiのようにOS入れなくてもいい点、プログラミングに集中できる点(というか、それしかできない)もある、と。
工業高校卒なのにハー弱(ハードウェア弱者)の僕としては「ハンダ付けか...ハードルたけぇな...」と思ってたんですが、なんとボードに差し込むだけのハンダ付けのいらないタイプもあるそうで。
これいいじゃん!って食いついたこのパーツ差込タイプ、ブレッドボード版とビスケットボード版(写真のやつ)の2種類があります。
ブレッドボード版は、パーツが外れやすいので高学年向け。ビスケットボード版はしっかりパーツが刺さる(でもちょっとキーボードの反応が遅い)ので小さい子向けということで。
こう聞くと、パーツ差込タイプ一択かな?と思うのですが、基盤タイプのメリットとして、「家に帰ってもパーツがとれない」「作るのもパーツをはめる場所が決まっているので簡単」というのがあって、パーツ差込タイプだと大人でも「あれ?どこに刺すんだっけ?」となるときがあるそうで、これは悩ましい。
あと、おっさん的に感動したのがですね、別売のゲームソフト。
「ゲームソフトもあるんですよ」っていいながら、カードっぽいものを出されたんですね。で、なにこれ?媒体は何よ?CD?USB?えらく薄いな...ってなりながら開けてみると、紙!
2015年なのに媒体が紙ですよ。これをIchigoJamに打ち込むとゲームができる!と。また、パッケージのイラストの駄菓子屋感というか、絶妙なレトロ感がなんとも言えないわけです。
かつてはプログラムを掲載してる雑誌っていうのがあって、MSX FANとか、MSX Magaginとか、ベーシックマガジンとか、デラべっぴんとか、あ、これは違うか。プログラムの配布方法っていえば紙だった時代があるんですよ。少年プログラマー は、それを夢中で画面に打ち込んでたわけです。もちろん僕もそのひとりだったので、懐かしいというかなんというかで。
ちなみに実際は、ゲームソフトみたくちゃんと箱に入ってるそうで、通販サイトもこちらにあります。笑
なんか、単におっさんが興奮してるだけみたいになってきましたけども、このIchigoJam、モンゴルの高専に導入することが決まったそうで、世界に輸出できる教材でもあります。ちなみに三重県では、鳥羽商船の1年生全員に配るということを実施したそうです。
お土産にひとついただいてきたので、三重か名古屋でフィードバックたいなと思っています。
あと、子供たちにプログラミングを教えるということで、いろいろお話をしてきたのですが、Scratchに関して福野さんが「違和感がある」とボソっと言われたので突っ込んで聞いてみると、福野さんとしては、Scratchの先にプログラマーが想像できない-と。
以前に同じ違和感を僕も感じていて、その違和感についてPodcastやブログで話題にしてきました。
Transclude Podcast Episode -2 13分18秒頃〜
子どもたちとEnchant.jsを使って本格的なプログラミングのワークショップをした話
で、いまの着地点ですが、
Scratchは、教養としてプログラミングを知っておきたいといったライトな層にも分かりやすく、前回のLittle Coder(シネマスクエア2014 for Kids × Little Coder Mieを開催しましたよ、という話)でやったようなことができるのが魅力。雑にいうと、雑にいうとですよ、文系的プログラミング or 女の子的プログラミング。
IchigoJamは、より本格的にコンピューターの世界に入っていきたい人が、ハードウェアとソフトウェアの基礎を体感・体験しながら学べるのが魅力。何よりハードウェアが自作なので愛着が湧きます。雑にいうと、雑にいうとですよ、理系的プログラミング or 男の子的プログラミング。
そんな使い分けかなと思っています。PCNのみなさんは、IchigoJamの次はCでロム書き換えるっていうロックな未来を語り合っておられましたが...。
さて、肝心のオープンデータの話ですが、筆記体力的、時間的、内容的にブログには書かれない模様となってまいりました...。またどこかでフィードバックしたいと思います。