2012年11月19日月曜日

政治とインターネット

衆議院が解散して各メディア政治一色ですが、新しいメディアであるソーシャルメディアと比べるとかなり温度差があります。ソーシャルメディア上で選挙を感じることは少ない。

ひとつは、選挙活動におけるネット利用がグレーなことかと思います。2011年の福岡市議選で、候補者がソーシャルメディアの更新や動画の配信を行い、警察からの警告を受けながらも従わず、結果不起訴処分になったケースがありましたが、公職選挙法がネットの利用を想定していないために基本ダメなんだけど実際やっちゃってる。と、いうのが現状なようで。ただ、グレーとはいってもリスキーなので流れてくる情報は少ないと。

話はちょっとそれますけど、政治とインターネットということで最近注目していることがあって、女性向けの交流サイトで政治に関連する投稿が目に見えて増えたことです。きっかけは隣国からナショナリズムを刺激されたことでしたが、この潮流はかなり意味があって無視できないことではないかと感じています。台所を仕切る奥様方の影響力は日本ではとても大きい。分かりやすいところでは不買活動だし、場合によっては家庭の投票行動にも影響を与える可能性だって十分にあると思うわけです。ただ、(マスメディアの情報を鵜呑みにしない人が増えたそうですが)ネットの情報に対する耐性はまだこれからということを考えると、選挙におけるネット解禁の先で一度失敗して勉強する時間というのがまたあるのかもとも思います。


もうひとつは、そういう活動は見せないものというのが文化的、商売的、感覚的にあって、個人のメディアであるソーシャルメディアに流す情報としてひっかかりを感じるためかと思います。この点は、日本での選挙活動のネット利用に関して考慮すべき点で、シェアしよう!なんて言われても、いやいやそんなライトにできない、できない。っていうのが現状だとすると、たとえネットが解禁されても本格的な利用までは文化の醸成を待つ必要があって、もしかすると匿名→実名という、いつか来た道を歩むのかもしれません。




















ネットを使った匿名での政治参加といえば、11月16日の行政刷新会議で、東日本大震災の復興予算などを検証する「新仕分け」の会場内にニコニコ生放送とTwitterのタイムラインが流れる仕組みを導入(詳しい記事)していたのが面白いです。議場の透明化に加えて、世論を感じながらの議論を行おうという試みで、スタジアムでいうところの"歓声"として参加ができるという敷居の低さと、議論へ与える影響とのバランスがちょうど良いなと感じます。また、議論の途中にニコ生上でリアルタイムにアンケートを実施して視聴者がどのように考えているかを結果表示したりと、参加感や一体感を生むアイデアはco-creation(共創)の事例としても興味深いものがあります。もしかすると、遅れている日本の政治が世界的にみて先進的な取り組みを実現するのではないかという可能性を感じています。



世界に目を向けると、ネットを活用した政治の先進的な例としてドイツの海賊党が開発した『LiquidFeedback』があります。(COURRiER Japonの2012年11月号で特集がされています)



















このLiquidFeedback(リキッド・フィードバック)はオープンソースのソフトウェアで、海賊党員が匿名で政策について討議し、投票できる仕組みがあり、参加のためには他の海賊党員からの証明が必要となっています。昨年12月には、このソフトウェアがイタリアの海賊党にも導入されることになりました。


ニコニコ生放送の事例では、ネットによる世論を感じながら熟議を行うことを民主主義2.0と呼んでいますが、ソーシャルメディアが一般化してネット上で個人の意見の発信・受信が普通になってきていることや、政府が2050年へのテーマとしてco-creation(共創)を掲げていることなども含めて、政治とインターネットのこれからについて考えるにはよい時期がきているのではないかと。

2012年11月2日金曜日

ハイネケンのco-creation(共創)サイト『Heineken Ideas Brewery』

オランダのビール醸造会社ハイネケンが、ビールでの新たな体験を生み出すために『Heineken Ideas Brewery』という顧客とのco-creation(共創)プラットフォームを運営しています。
























Heineken Ideas Brewery』の仕組みは、まず消費者からアイデアを集め、それに対して参加者同士で投票を行います。その際にソーシャルメディアをつかって自分のアイデアをプロモーションすることを推奨しています。

次にそれらアイデアのうち革新的なものの中から、ハイネケンが実現可能性や人気などを考慮して6人を選び、アムステルダムでのワークショップに招待します。2日間のワークショップでハイネケンと参加者が共にアイデアを実現可能なコンセプトにまとめて一般公開する流れになっています。その後、最終的に3名が選ばれて賞金が授与されます。


入口となるウェブの仕組みは、My Starbucks Ideaや、Dell Idea Stormなどでも見られるオーソドックスなものですが、ウェブだけで完結させるのではなくてワークショップでアイデアをブラッシュアップさせているところが特徴的です。

消費者は目の前にある商品に対する批評に関してはある意味プロですが、商品の開発に関しては素人です。ただ、プロである生産者にはない発想を持っていることも多く、そのアイデアを実現可能なところに落とし込むうえで、ハイネケンのこのプロセスは理になかっているように思います。



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