”若い人が理解できない” なんていうのも頭の硬化現象のひとつかなと思うわけですが、だからといってこの年齢になって「時代はスナチャっしょ、スナチャ。やってます?」(おっさん向け補足:Shapchatの意)とか、「ミクチャやってんすよ、ミクチャ。やってます?」(おっさん向け補足:Mixchannelの意)などと、やみくもに若者文化に飛びついておりますと、いい歳して...。みたいな目でみられたり、そもそもMixchannelをなに目的で使ってんすか、なに目的で...。みたいな目でみられるわけでして、周囲が許してくれない空気、おっさんらしさを求められる空気が一方であったりするので、これがなかなか悩ましくもあります。
最近では、そういうことを考えるのも追っかけるのも面倒になってきておりますので、もういっそのことMixiあたりが一周回ってお洒落扱いにならないかと願うばかりです。
先週末に三重大学のアントレプレナー論にて1コマ講義をお任せいただきました。これまで6年間関わらせていただいている講義ですが、今年は60名以上の学生さんが受講されていまして過去最高の人数でした。
先月の金城学院大学の市場調査論も同じく60名ほどの学生さんでしたが、僕のスキル的にはこれくらいの人数までが顔を見ながら講義ができる限界かなと思っています。過去には金城学院大学で90名弱というのがありましたが(下の写真が当時の様子)、学生さんとの距離を感じて話しづらかった記憶があります。
この講義では、いくつかの問いを学生さんとともに考えるというスタイルをとっていまして、起業というのは失敗したときの共通点というのは見つけやすいですが、うまくいった理由はひとそれぞれで答えがあってないようなところがあるので、それぞれに答えがある(それぞれで定義する)としたほうが、アントレプレナー論として向いていると考えているからです。
受講された学生さんから「これまでの学校教育では一問一答であることが多くてこうした答えの決まっていない問題を与えてもらって嬉しかった」というレポートがありましたが、話す側としても毎年みなさんのいろんな意見を聞けることは楽しみでもありますし、とても嬉しいと感じています。
講義で使っている ”問い” は、秘伝のタレのごとく毎年継ぎ足し継ぎ足しつかっていまして、昨年は次の5つについて考えました。(昨年の講義についての記事はこちら)
1.成功とはなんですか?
2.”わたし” とはなんですか?
3.努力は報われますか?
4.辛さ、とはなんですか?
5.価値とはなんですか?
そして、今年はそれらに
6.夢は必要ですか?
を加えた6つの問いについて考えてみることにしたのですが、これは昨年の講義後に「講義を聞いていて阪さんの夢が何なのかわからない」という質問があって、回答に困窮したためです笑 こうして昨年のエッセンスを加えて講義内容をブラッシュアップしていくことが継続して関わらせていただいている意味のひとつかなと思っています。
ただ僕個人としては、これが夢です!といえる明確なものがなく笑、でも「夢を持て、夢に向かって進め」みたく輝いたセリフを巷でよくみかけますので、これを講義で話すには多様な意見に耳を傾けなければならない、と思いまして、みなさんにFacebookでお聞きした次第です。
投稿前の予想では「そりゃ夢は必要っしょ!」「夢があったほうが楽しいに決まってる!」みたいなご意見で溢れるかと思いきや、もちろんそういうご意見もありましたが、
同じかそれ以上に「必要かと言われたら、生きる上ではどっちでも良い」「無理に持つ必要はない、自然と湧き上がってくる」「漠然と夢とするのではなく、具体的にいつまでに何をすべきかを考える」「絶望の中で夢なんか持てない、希望を持てば夢が湧いてくる」といったご意見があって興味深かったです。
こうしたしっとりとした思考の大人のみなさんのご意見を踏まえまして、僕が講義で提示したのは(答えではない)、
「あってもなくてもいい 見続けたい夢なのか叶えたい夢なのかを知る」
というものでした。
夢のもち方ってひとそれぞれで、その使い方もひとそれぞれですが、それを ”叶える” としたときには、結果として ”叶わない” ということが起こりうる。
例えば、将棋のプロ棋士になりたいという夢があったとして、それに一生挑戦できるかというと「満26歳の誕生日までに四段に昇格できなければ退会処分となります。」という規定が奨励会にはあって、その夢を一生追い続けたくてもできないわけです。
つまり、夢を叶えたいものとしたときには、その夢によっては実現するのための逆算が必要になってきて、それはやがて目的や行動というものに形を変えていくと。
一方、夢を ”見続けるもの” とすることも、これはこれで素敵なことで、その夢が日々の活力を生むとも考えられる。
ただ、アントレプレナー論、つまり起業という視点では、油断すると逃げ道になってしまう可能性があって、この見続けたい夢の力というのは、かなりうまく使う必要があるかなと思います。
実際に講義を受けた学生さんのレポートは、こんな感じでした。
学生さんそれぞれに考えるところがあったようで、レポートを読んでいて楽しかったです。講義はどちらかといえば女の子の方に響いてたかなという印象でしたが、大半が1年生(18〜19歳)ということで、講師の武田先生曰くこの時期は女の子のほうが精神的に成長が早いのでなんとなく理解できる、と。
ただ男の子は、ここからグッと伸びる子がいるということで、そんな吸収力と柔軟性の高い時期にこうしてお話をさせてもらえるというのは、やっているほうとしてもその可能性にワクワクしますし、この講義が人生のどこかの瞬間で役に立ってくれることを願っています。
あと、こういう何気なく書かれたひとことが、講義後の一番のご褒美です笑
最後にー
金城学院大学に続きまして、今年も貴重な機会をいただきまして、講師の武田先生には、感謝申し上げます。「ここ数年は講義の内容・話し方に指摘箇所がほぼない」という一言をいただきまして、嬉しいというよりもお預かりした講義を果たせたという安堵感のほうが強かったです笑 ありがとうございました。
最終プレゼンなど、まだ何度か顔を出しますので、学生のみなさんよろしくお願いします。あ、そうだ。今度行ったときにMixiの使い方教えますので、かわりにスナチャとミクチャの使い方教えてください。