2013年12月23日月曜日

Bizcafeよっかいち『ここちよさのデザイン』

うちのオフィスがあるビズスクエアが毎月開催している「Bizcafeよっかいち」という起業をテーマにした交流会(勉強会かな?)がありまして、そこで約1時間『ここちよさのデザイン』というテーマでお話させてもらいました。あんまり時間ないけど聞きにきた!という方が何人かいらっしゃって本当に嬉しかったです。

























実は、これまでに何度かBizcafeの講師に名が浮上していたんですが、やんわり避けていた経緯がありまして。というのも、僕の話って「○○な視点があってもよくて...云々」とか「○○な時代がくる可能性があって...云々」みたいにかなりフワッとしているので、具体的にどうビジネスを作ってきたとか、ビジネス直結のノウハウみたいな話が求められているBizcafeには合わないと思ってたからです。

まあ僕としては、Bizcafe番外編ということで『世界を目指す起業家、地方を目指す起業家』というイベントを8月に開催しているのでそれでお役御免かなと思っていたのですが、本編のほうでもということになり、いつものBizcafeっぽい話はできないですけど…と前置きした上でお話しさせてもらいました。

開催日がクリスマスの前週、3連休初日、年末も近いとあって、いやそんな時期に誰も来ないだろうと思っていたのですが、蓋をあけてみると30名近い参加者にお越しいただけて、最近のBizcafeの集客力すげーな。と感じた次第です。女性の参加者も多くて、おっさんの多い名古屋の某IT系飲み会とはまた違った雰囲気です。やっぱり運営に女性がいるのは大きいかな。

























今回の主旋律は、いま仕組みのデザインと見た目のデザインの狭間で、考えられているような考えられていないような状態になっている、なぜ人が動くのか、動かされるのか?というところのデザイン、「ここちよさのデザイン」を明確に分けようよ。と、いうこと。

ちなみにここでの "ここちよさ" とは、「人を動かす気持ちよい感情」のことで、単に気持ちいいだけのことは指していません。


僕は、ウェブシステムを開発する仕事をしていますので「こんなアイデアがあるからネットを使って実現したい!」というご相談をよく受けます。「こんな風に投稿ができたらきっと楽しい!」とか「かわいいデザインにして女性ユーザーを獲得!」みたいな議論が熱いのですが、それって仕組みと見た目の話であって、本当にそう受けとってもらえるのか?そもそもなぜそれを使いたいと思うのかという視点での話がしっかりされることは少ない。

また、大学での講義、交流会の主催などしていて感じるのは、「これからは○○な時代が来る!」「○○業界を盛り上げる!」「○○で地域活性!」なんていって熱いコンセプトやメッセージで伝えようしても、基本的に誰もそれには興味がないということです。熱いのは伝えようとしてる人たちだけで、受け取る側は「なんか知らないけど面白そうだな。」くらいで動いてて、理解は後だったりする訳です。であれば「あ、なんかよさそうだな」とか「聞いてみようかな」と思わせるここちよさをデザインするという視点は、仕組みや見た目のデザインと同じかそれ以上に大切なんじゃないかと。

ただ、ここちよさのデザインといっても難しい。仕組みや見た目のデザインは発信側の話だけど、ここちよさのデザインは受け取り側のことでよく見えないし、ノウハウもないのでどこからどう手をつけたらいいのか分からないっていうこともある。そこで、まずそのイメージを掴んでもらうために例として挙げたのが水。
 
























水は、味をつけても香りをつけても水じゃなくなる。富士山録の水、南アルプスの水、飲んだことはあってもその違いが分かる人なんてほぼいない。つまり差別化が難しいのでデザインでの差別化に頼りがちになるんだけど、そこにここちよさを持ち込んで差別化したのが、いろはすじゃないかと。

誰しも、環境に悪いと分かっていてもつい便利さを優先してしまう(薄い罪悪感)みたいなものが頭のどこかにあって、かといって週末に植林に行ったり海に清掃に行くかというとそこまででもない。ペットボトルなんてまさに環境に悪そうなものの筆頭格なんだけど、いろはすを買えばエコにつながるっていうのがそうした罪悪感に対してちょっと許される感を生んでいて、それが選択行動につながっている。そのここちよさは、ちょうど暴飲暴食したから青汁飲んでプラマイゼロ、みたいな感じに似ています。

ほかには、企業の給与制度なんかもイメージ掴みやすい例で、成果が評価・反映がされる仕組みだけでみんな満足かというとそんなこともなくて、むしろ論理的な仕組みにしすぎて満足度が下がったなんていう話や、逆に給料があんまり上がってなくても社長からの言葉で報われてるなんて人もいて、こうしたことからも仕組みのデザインとここちよさのデザインは明確に分けて考えたほうがよさそうだということを感じます。



























あと、この「仕組み」「見た目」「ここちよさ」の3つのデザインを分けて考えるという視点は、「マーケティング」「ブランディング」を考えるときにも役立つと思っています。特にマーケティングとブランディングがごっちゃになって「ブランディング的に考えてデザインは...云々」なんてことになっている場合においては。

ブランディングが顧客の中にあるここちよさ(多くの場合、信頼や安心感)を得ることだとすると、まずは商品やサービスを届ける(売る)ことが第一で、その後の積み重ね(サポートや問題対応など)が少しずつ顧客の中にそれを育てていく。特に名も無い地方の中小企業がビジョンだとか、ミッションだとか、ロゴやイメージの発信だけで自社をブランディングするなんてまず無理で、そうした発信は、こんな風に思ってもらいたいっていう企業側のここちよさ(マーケティングの範囲)であって実際にそのまま受け取ってもらえるかなんて分からない。

いや発信し続けることで-。って見方もありますが、それならば話それますが、僕はオードリーの若林に似てるとよく言われます。一方、オードリー若林とイケメン俳優向井理が似ているなんて話がネットなんかでされていて、(三段論法風に)故に僕=向井理な訳ですが、僕が向井理似押しで発信しつづけても無駄です、実際のところ女性中心に(ネタ的に話してんのに!)ドン引きされて心がズギズキします。それよりもオードリー若林似だということを受け入れて(顧客を理解して)その延長線上にあるものを見つけていくことがブランディングへの近道になるということです。



すべての人に刺さるデザイン、すべてを網羅するシステムが無いように、ここちよさのデザインについても1つの方法論ではきっと語れなくて、状況に応じたデザインが必要なんだけど、今回の話は、まず視点として明確に分けようよ。というところまで。

仕組みを作るためのシステムエンジニアがいたり、見た目を作るためのウェブデザイナーがいるように、ここちよさのデザインをする人がいてもよくて、これからの重要な職業の1つになる可能性を感じます。もしかすると、IT系でいうグロースハッカーもある意味でこの分野なのかもな、と思います。




最後に。今回ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。予想以上の反響があって、Bizcafeには合わないかも...と心配していただけに嬉しかったです!特に人生の先輩方からの評価は励みになります。感謝しております。

Bizcafeスタッフのみなさん、お疲れ様でした。ありがとうございました。クリスマスランチも楽しかったです。
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