2012年1月30日月曜日

コ・クリエーション(Co-Creation)に限りなく近いCollaboration 岩塚製菓『ほ和っと』

コラボレーション(Collaboration)により商品開発している事例はよく見かけるかと思います。最近では、スクウェア・エニックスのドラゴンクエストとファミリーマート(輸入:井村屋)によるコラボレーション商品『スライム肉まん』が話題になりました。

では、コラボレーションとコ・クリエーション(Co-Creation)は何が違うのか、岩塚製菓と品川女子学院の『ほ和っと』(※1)のウェブサイトがとてもよい事例でしたので、それを使って考えてみたいと思います。なお、コラボレーションとコ・クリエーションのどちらが優れている、いないという話ではなく、その違いについての考察であることをあらかじめお伝えしておきます。

























1.誰でも参加できるプラットフォームであるか?
誰もが参加できるプラットフォームが提供されていることがCo-Creationの特長1つです。『ほ和っと』はあらかじめ決められたメンバーであり、他の消費者が参加できる仕組みは提供されていませんので、この点においてはコラボレーションであるといえます。

2.コンセプトメイキングなどの早い段階から消費者と共に取り組んでいるか?
コンセプトから商品パッケージ、さらにプロモーションに至るまで生徒さんのアイデアがベースとなっています。コンセプトについては、いくつかのアイデアの中からクラス代表となるものを決めていますが、ウェブを活用したCo-Creationの事例では、アイデアへの投票を行うケースは多いです。

3.プロセスが公開されているか
プロセスの公開はCo-Creationにおいて「共感」「体験」をつくりだす上で非常に重要です。この取り組みが素晴らしいなと思った一番の点は、原材料となるお米のことから、最終的なプロモーション、販売にいたるまでのプロセスが分かりやすく公開されていることです。更新を楽しみにされたいた方もおられたのではないかと感じます。

4.消費者の「体験」があるか
Co-Creationが重要視する点に顧客体験があります。自分たちがその商品開発に関わっているという体験ができているかどうかですが、生徒さんたちは間違いなくYESです。自分たちのアイデアが形になっていく過程を目の前で体験していますので商品への愛着も大きいと思います。また、ご家族も実際の話を聞いたりブログを見たりして経過を見守ってきていると思いますので、こうした人たちが商品完成時には既にファンとなっていて、購入だけでなく周囲に広めてくれるプロモーターにもなる点がCo-Creationの大きなメリットです。

この『ほ和っと』の取り組みはCo-Creationが目的ではなく、商品開発を通した教育が目的のプロジェクトですので、ウェブサイトの内容もまったく申し分ないと思います。

ですので、あくまで「もしこれをCo-Creationにするなら」という観点でポイントを上げるとすると、

a) ブログのRSSを提供、プロジェクトのメルマガ配信
期間の長いプロジェクトですので、興味を持っていても時間とともに忘れてしまいますので、これらの仕組みは最新情報を届け、再度プロジェクトに興味を持ってもらうために有効です。

b) ソーシャルメディアと連携するためのボタンの配置
ブログのコメント欄とは違い、ソーシャルメディアでのシェアは避けることができません。であれば、ボタンを配置したほうがより多くの方に取り組みを知ってもらえるようになります。

c) コンセプトやパッケージへのアイデアを公開して、生徒さん以外からも賛同や意見を募る
ここまでくると完全にCo-Creationの色合いが強くなってきます。合格、不合格も含めてプレゼンテーションも見てみたかったなという気もします。パッケージなんかは、逆に一般から募集して生徒さんで決めるなんてこともできたかもしれません。

d) 参加する生徒さんを学校指定ではなく募集する

と、いったことがあげられます。自分たちも開発に参加しているという「体験」の提供をいかに行うかがポイントとなってきます。

このウェブサイトは『ほ和っと』の開発レポートといった感じで、コメント欄なども用意されていませんが、目的が先にも述べたように教育の一環であり、外部とのコミュニケーションの必要性がないためだと思います。ただ、a, bに関しては導入しても問題にはならないのではないでしょうか。

ほ和っと』ですが商品自体の味がいいことはもちろんですが、取り組みとしてもいいし、コンテンツとしても面白いので、より多くの人に知ってもらいたいと思っています。(いや、なんか締めくくりがステマっぽいですけど違います。 笑)



※1…品川女子学院の28Projectという28歳になったときに社会で活躍している女性を育てるというコンセプトで取り組まれている学校と企業のコラボレーションで、とても意義のあるプロジェクトだと思います。

2012年1月23日月曜日

オンラインとオフライン それぞれの良さを最大限活用した無印良品のコ・クリエーション(Co-Creation)『無印良品モノづくりコミュニティ』

Co-Creationは別にインターネットがなければできない訳ではありません。紙と鉛筆を持って会議室で行うことも不可能ではありません。大切なのは取り組む課題を決めて、アイデアやコンセプトをまとめる段階から消費者参加型であること。そして、そのプロセスを公開して体験してもらうことです。

インターネットは、企業のCo-Creationの取り組みをより多くの人に知ってもらい、参加者してもらうための効果的なツールです。そのインターネットの良さと実活動の良さを最大限活かして効果をあげているのが『無印良品モノづくりコミュニティ』です。

































無印良品モノづくりコミュニティ』では、うまくオンラインとオフラインの活動を使い分けています。例えば取り組む課題の告知やモニター募集、アンケートの実施はインターネットを使って行います。次に実際にモニターが集まり、アンケート結果をもとに作成したプロトタイプに感想や意見をもらいます。その結果を再度インターネットで公開します。このプロセスを何度か繰り返して商品が完成します。また、サイト上には商品完成までのステップが表示されていて、これまでのプロセスと現在の段階を知ることができるようになっています。

Co-Creationの特長として「商品開発の初期段階から消費者に参加してもらう」ということを何度か書いてきましたが、これは必ずしも何にも無いところから消費者のアイデアで全てを作っていくということではありません。コンセプトやアイデアを生むためのプロトタイプを準備することで開発プロセスがスムーズになります。

これは、少数のクリエーター、イノベーター的な消費者とのCo-Creationを行っている事例のように見えるかもしれませんが、消費者の参加の方法はそれだけではありません。モニターとして実際に会議に参加してもらう、ネットのアンケートに応える、単に完成までの経過を見て楽しむ、ソーシャルメディアでシェアするなど、いろんな形での参加が可能です。そして、そのどれもが消費者にとっては自分たちと共に商品が作られていくということの『体験』になるのです。そして、この『体験』がCo-Creationにおいては重要になってきます。


さらに無印良品は『くらしの良品研究所』というサイトも開設していて、こちらは消費者が自分の持つアイデアや要望を自由に投稿でき、そこから新しい製品やサービスをつくっていくためのサイトになっています。ほとんどウェブサイトにはお客様の声を投稿するページが用意されていますが、その活用はイマイチであると言わざるをえません。『くらしの良品研究所』はそうしたサイトへのベストプラクティスといえます。


2012年1月16日月曜日

書籍紹介『生き残る企業のCo-Creation戦略 ビジネスを成長させる「共同創造」とは何か』

Co-Creationに関する書籍をご紹介します。


今日も日本中で数え切れないほどの会議が行われていると思いますが、その会議に参加しているメンバーは、だれよりも優秀で、だれよりも経験が豊富な人たちでしょうか?そして自分たちの製品やサービスの優位性や弱点について、あるいは顧客が抱える不満について十分に理解しているといえるでしょうか?

もしそうではないとしたら、その閉鎖的な空間で生み出されるアイデアがニーズを的確に捉えているといえる理由はどこにあるでしょう?顧客ニーズは多様化し、日々変化しています。同じような製品やサービスが溢れる中、差別化は非常に難しくなってきています。

ここで紹介する書籍『生き残る企業のコ・クリエーション戦略 ビジネスを成長させる「共同創造」とは何か』には、そうした閉じられた組織内でのアイデアには限界があることを理解し、Co-Creationにより参加型のプラットフォームを導入することで、新たな製品やサービスを生み出すことに成功した企業(ナイキやスターバックス、トヨタ、アップルなど)の成功事例が数多く取り上げられています。



生き残る企業のコ・クリエーション戦略 ビジネスを成長させる「共同創造」とは何か | Amazon


帯にある「企業の社交性がイノベーションを生む」という言葉が印象的で、企業とそこに接点のある人(従業員、サプライヤー、顧客)との交流をオープンに行っていくことの重要性を認識できる一冊です。

スターバックス、レゴ、デル、アップルといったアメリカ企業の他にも、ワコールやクラブツーリズム、トヨタ(サイオン)など日本企業の事例、あとインド企業での事例や、フランス郵政公社など公的団体の事例もあり、サービス開発の担当者はもちろんですが、経営に携わる人に特にお薦めの書籍です。

2012年1月10日火曜日

参加型のウェブサイトに巨大なビジネスチャンスがある-デルのコ・クリエーション(Co-Creation)『Idea Storm』

FacebookやTwitterといったソーシャルメディアにより、個人の情報発信はますます手軽なものとなってきています。しかしながら、企業と消費者という関係で見てみると、それぞれが一方的に情報を発信していて、”会話”が成立しているケースというのは非常に少ないのが現状です。

デルは以前から、顧客満足度、サービス品質向上のための取り組みを行い、自らを顧客志向の企業であると考えていました。しかし、ある顧客のブログを引き金にして、同じ不満を持つ多くのユーザーが一斉に声をあげる騒動が起こり、それが自身の勝手な”演出”に過ぎなかったことに気づかされます。























「顧客はデルを交えないでデル製品の話をしている。その会話にデルも参加するべきだ。」

これが、デルがIdea Stormという顧客参加型のウェブサイトを開設するきっかけとなりました。このIdea Stormからは、無駄なお試しソフトを搭載しないで欲しい、OS無しという選択肢の追加、梱包材の削減など様々なアイデアや要望が寄せられ、実現されていきました。

やがては、「デルの話はデルのウェブサイトでしていただきたい」とCEOマイケル・デルが述べるほど、ウェブサイトを参加型にする重要性、またそこから生み出される巨大なビジネスチャンスを認識することになりました。

ブランドやサービスは、企業の中にあるのではなく顧客体験の中にあります。それをいかに把握して、企業活動に活かしていくかという点でCo-Creationが果たす役割が大きいのだといえる実例です。


2012年1月9日月曜日

スターバックスが取り組むCo-Creation『My Starbucks Idea』

スターバックスが一時深刻な業績不振に陥った際、”顧客の中のスターバックス”を実現すべく取り組んだのがMy Starbucks IdeaというCo-Creationプラットフォームの開設です。このサイトは現在でもスターバックスのサービス改善に大きな役割を果たしています。
























驚くことにMy Starbucks Ideaでは、数十分単位で新しいアイデアが寄せられています。店舗へのWifi導入や、スターバックスカードに自分のお気に入りのオーダーを記録できる仕組みはここから生まれました。

スターバックスと顧客、あるいは顧客同士がアイデアをベースにサービス改善のための意見交換を行っており、その中で優れたアイデアは実際にサービスとして採用されます。積極的に参加をすることでプロフィールにポイントが加算されていく仕組みになっていて、顧客がいかに自分がスターバックスに貢献しているかを確認できるようにもなっています。

スターバックスは、顧客のアイデアでサービスが改善されていく過程を顧客に公開し、体験してもらうことで”顧客の中のスターバックス”を実現している訳です。Co-Creationにより、顧客と企業が一体となって企業価値を高めているひとつの事例といえます。
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