そもそもなぜ東海道がテーマなのかといいますと、朝日町の人口増がその背景のひとつにあります。
朝日町は、2006年頃から北西部の丘陵地に白梅の丘、向陽台という住宅地が開発されたことなどに伴い人口が急増(2005年~2010年の人口増加率が全国の市町村で第1位)しました。これだけ聞けば、人口減に頭を抱える自治体が多い中うらやましい話に聞こえますが、新たに開発された地域には若い世代が多い一方で、旧市街地にはお年寄りが多いという、同じ町ながら地域によって人口構造がおおきく異なるという状況を生みました。
今後は緩やかな人口減が予想されている中で、古くからある地域に暮らすみなさんと新しい地域に転入してきたみなさんが、ふるさととして "同じ朝日町" を心に宿すために「朝日まちなみプラン」というのを策定されて、町の中心を通る東海道をその中心的な役割に据えて取り組んでおられるというのが今回のワークショップの背景にあります。(と、個人的には理解しています。)
(地図データ:Google, ZENRIN) |
ハード事業(道路を整備したり、公園を整備したり)は計画が進んでいて、これからソフト事業(今回のようなイベントとか)も進めていくという段階で「何かアイデアないですかね?」と担当の矢野さんがお越しになったのが8月のこと。
矢野さんと僕は7年ほど前から交流がありまして、役場にお勤めになられてる割には異質な方(褒めてる)というのは存じ上げてましたので、何か面白い取り組みができるかもしれないなと、僕としてできそうなアイデアをいくつかお伝えしたのですが、そのうちの1つが今回の子ども向けプログラミングワークショップでした。
そして一か月待たずして「東海道をテーマにしたプログラミングワークショップ」の企画が通ったとの連絡があって、僕の方で少しイメージを膨らませて「東海道の昔といま、そして未来をスクラッチキャットが旅をする」プログラムを作るワークショップになりました。
朝日町の東海道の歴史とプログラミングを学ぶワークショップ参加者募集!(朝日町ウェブサイト)
プログラミングを通して自分たちの町の歴史について知るという体験だけでも十分面白いな(大人的には)と思ったのですが、歴史を知るだけじゃなくて未来についても考えられる機会になれば素敵だなと思いまして。
会場の朝日町教育文化施設 |
タイミングよく開催前の11月には、小学校プログラミング教育の手引の第二版が公開されまして、分類A(学習指導要領に例示されている単元等で実施するもの)の④に
"「まちの魅力と情報技術」を探究課題として学習する場面(総合的な学習の時間)"
という指導例が追加されました。
自分たちで「まち」の魅力と情報技術との関係を考えることを活動の位置づけとして、それを通してまちの一員としての自覚をもって自分と「まち」との関わりを深めていくことができるようにすることを目指していますが、今回のワークショップもそうした学習・体験の1つになったのではないかなと思っています。
さて、ここからは当日の様子ですが、参加してくれたのは23名(うち5名が町外から)の子供たちでした。9歳の初心者が一番多かったです。
内容を初心者向けに構成していて、ひとつずつ説明しながら進めるのでスタッフそんなにいらないのでは?と思っていたのですが、実際には思ったよりサポートが必要で時間もかかってしまい(内容の盛り込みすぎが原因...)、スタッフのみなさんには苦労をおかけすることになってしまいました。
そして、時間が押していたために後半に用意していた自由度の高い部分の時間を一部削らざるを得ない状況となって、プログラミングの楽しさをどこまで感じてもらえたか不安ではありましたが、みんなの作品が一通り動くところまでは進めることができ、最後の発表も含めて予定していた時間内に終えることができました。
未来の朝日町の東海道ではドローンが行きかう? |
こちらは、その作品を発表しているときの様子。スクリーンに未来の東海道ステージが表示されています。この黒いのは何?と聞いてみるとドローンとのこと。未来の東海道にはドローンが飛んでるの?と聞くと、「うん。いっぱい。」と答えてくれました。
こうして誇らしげに作品を発表する姿を見たり、ワークショップ終了後に保護者の方に楽しそうに説明をしている姿を見て、いつものようにですが、子供たちの楽しさを発見する力に救われたなあと思った次第です。
気になっていたアンケートには、ほとんどの子が「とても楽しかった」に〇をつけてくれていて、全身の疲労感もどこか心地よさに変わった気がします。(ポエム)
一方で成果のバロメーターだと僕は思っている次また来たいですか?という質問には、低学年の子はほとんどの子が「ぜひきたい」に〇をつけてくれていましたが、高学年の子は暇なら来たいという回答が多く、内容も高学年の子は少し簡単に〇が多い結果でした。逆に低学年の子には少し難しかったに〇が多くて、このあたりのバランス調整は難しいのですが、次の課題だなと感じました。
企画・担当の矢野さん、お疲れさまでした。楽しかったですし、こういう着眼点のワークショップに可能性を感じました。貴重な機会をありがとうございました。
また、Little Coder Mieのスタッフのみなさんもお疲れさまでした、ありがとうございました。プログラミング対決回みたく進行もサポートも綺麗にパッケージングしたかったんですが、またしても力及ばずで。。笑
リンク:
「朝日町の東海道の歴史とプログラミングを学ぶ」子ども向け プログラミングワークショップのレポート(Little Coder Mie公式ブログ)