2013年2月22日金曜日

コーディングでより良い政府は作れるか?オープンデータとCode for America

ここ最近、オープンデータというアイデアが熱気を帯びてきているなと感じてます。オープンデータとは、データの著作権や特許といった制限を無くして、利用・加工・再配布などが自由にできる形で配布することで、利用者の発想によって価値のある使い方を見つけていってもらおうという考え方です。

特に海外では、オープンガバメントやGov2.0と呼ばれる"うねり"があって、行政機関などが持つデータをコンピューターが処理できる形で公開することが進んでいます。アメリカのData.govやイギリスのDATA.GOV.UKを筆頭に20を超える国や地域の政府がオープンデータのためのウェブサイトを開設しています。

で、日本ではどうなのか?手っ取り早く検索エンジンで "オープンデータ" と検索してみると、福井県鯖江市千葉県流山市がオープンデータへの取り組みを行っていることが分かりますが、政府公式というとまだないようです。ただ、その前段階ともいえる『オープンデータ IDEABOX』というサイトを公開していて、データを公開していけばよいのか?どういう使い方があるのか?といったことを国民の参加によって考えていこうという取り組みが行なわれています。
























位置づけとしては、内閣官房、総務省、経済産業省による意見募集の試みということで、活発とはいえないものの、大気汚染、医療情報、エネルギー資源といった日本が抱える課題からみたデータ利用法に対する意見、完全性や著作権といったデータ自体にまつわる課題などが投稿され、議論されていました。

行政であれば公平性であったり、企業であれば利益であったりと、それぞれが抱える事情によってサービスの手が届かない部分ができてしまう。そこで、行政機関や公共機関などが持つデータを公開して、市民が自分たちの手で必要なサービスを作っていけるようにするというのがオープンデータの方向性です。例えば、流山市ではAEDの設置場所や災害用井戸の場所のデータを公開しているので、それをGPSと絡めて検索できるようにする-といったようにです。


さらにアメリカでは、この考え方がさらに進んだ『Code for America』という試みがされています。コーディング(コンピュータープログラムを書くこと)によってより良い政府をつくることはできないのか?そのことについて活動家のジェニファー・パルカは、TEDで次のように語っています。





Code for Americaの活動は、優秀な技術者に休職してもらい、彼らが気に入りそうもない職場環境(行政機関や市を指している)で実際に職員として働いてもらい、そこで役立つアプリを作って他の職員と検討するというもの。

例えば、ボストンでは雪が降った日に消火栓を掘り出す人を募集していましたが、まったく機能していませんでした。そこで、自分が雪かきをする消火栓を選ぶ小さなアプリを作り、消火栓を名付けられるようにしました。早く選ばないと命名権を他の人にとられるかも-というちょっとした競争もあってバイラルに広がっていきました。これを見たホノルル市は、津波警報の警報機のチェックに活用することを考えました。とても大切な装置なのにバッテリーを盗む人がいたからです。シアトルでは、雨水の排水口の詰まりを直してもらうのに使おうと決めました。

"計画立案から実施まですべてやる" という時間と予算のかかってしまう従来の考え方から発想を変えて、みんなで取り組める仕組みづくり(ツール)の提供に予算を投じるというアイデアが効果的に働いたといえます。Code for Americaでは、個々が声で主張するという従来のやり方ではなくて、個々が手を動かすことで政府がより良く機能するための仕組みに変えていこうというメッセージを発信しています。



日本には、文化的に祭りの運営や街の溝掃除といった共同体を維持する活動というのが根付いていますので、オープンデータを使ってネット上で社会貢献活動をするという人が増えてきてくるかもしれません。一見、家に引きこもっているようでも実は社会にすごく貢献してる若者がいる。なんていう時代が来そうですね。
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