2012年7月31日火曜日

co-creation(共創)の出発点は『思い乗せた将来像』の発信から。

国家戦略会議のフロンティア分科会が『共創の国』づくりと題する報告書をまとめています。(報告書

 今まさに坂を転げ落ちようとしている課題先進国日本が、共創によって価値を創出することで多くの課題を克服し、それを先駆的な国家モデルとして国際社会に示すというものです。

























co-creation(共創)の出発点は、人がそこに参加したいと思うきっかけをつくることです。ハードルの高さは、誰が何をやるかによって違ってきますが、共通して言えることは、思い乗せた将来像(ビジョン)をメッセージとして示すことが重要だということ。一人の人間の思いに共感して世界が動くことがあるくらい、メッセージは人を惹きつけ、大きなうねりを生み出すきっかけとなります。

今現在の『共創の国』づくりでのビジョンは、あるべき日本の姿=「共創の国」としています。一般向けには、例えば報告書中にある『未来を搾取する社会 を 未来に投資する社会 に転化させる』のような分かりやすいメッセージが欲しいですが、示された将来像は賛同できるもので、実現したなら確かに素敵な国になると思います。


実現に必要なこととして交流・混合・変容の3つがあげられていますが、場づくりと、そこで参加者がどのような体験を得るのかといった部分への着目が、長く愛される仕組みづくりにつながっていくではないかと思います。

いま企業にとっても参加型の仕組みを構築することは非常に重要な未来への投資です。ただ、どんなに論理的に正しい仕組みでも、人が関わり合いの中で行うことである以上、思いや熱意、共感といった感情面への取り組みも合わせて行わなくては、単なるお飾りになってしまうのではないかと思います。

この機会に自社のビジョンやミッションについて考えてみてはいかがでしょうか。

2012年7月20日金曜日

自分だけのチョコレートバーがカスタムできる『chocri』

co-creation(コ・クリエーション)において、消費者にプロダクトのデザインを委ねる際にどこまでの自由度にするかは悩みどころ。自由過ぎて難しくなってしまう場合もあるからです。『chocri』は、自分だけのチョコレートバーをつくって購入できるECサイトですが、決められた部分と自由度のバランスが良くとれています。





















はじめにベースとなるチョコレートバーの味を4種類の中から選択します。次にトッピングをクリックして決めていきます。チョコレートバーは6つに区切られているので、フルーツ、スパイス、ナッツ、お菓子、デコレーション、シリアルなど100種類以上あるトッピングの中から6つを選択していきます。そして、最後に購入すると家にそれが届くという仕組みです。





















これくらいならデザインセンスや味覚のセンスは必要ありませんね。インターフェースも簡単なので子供と一緒にトッピングしていくという楽しみ方もできそうです。

ちょっとした"つくる"体験をプラスすることで、届くのが待ち遠しいチョコレートを実現しています。

2012年7月12日木曜日

共創をテーマにしたWebメディア『cotas(コタス)』

co-creation(共創)は、世界三大広告賞の1つであるカンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルでも2012年注目のキーワードとして取り上げられていましたが、電通とインフォバーンがその共創をテーマにしたWebメディア『cotas』を6月にスタートさせています。























以前、このブログでもご紹介したAMO's Styleや書籍「生き残る企業のコ・クリエーション戦略」などが事例として紹介されています。

これまでも消費者の意見やアイデアをもとにした商品開発は行われてきましたが、Web2.0にはじまり、現在のソーシャルメディア普及に至る過程で、個人がインターネットを使って参加・発言するようになったことがリテラシーを向上につながり、これまでとは違った形で消費者参加型の取り組みができるようになった要因になっています。

しかし、ただ単に参加の仕組みを用意して「参加してください!」と言っても駄目で、企業が発信するメッセージやビジョンのデザインや、参加することで貢献していることを実感できたり、自分を表現することができる体験のデザイン、持続性のある参加型のデザインなど、全体的なシステムデザインが必要ではないかと思います。

また、既に多くのファンを抱えるブランドを持つ企業と、これからブランドを構築していこうという企業とでは取り組み方も大きく変わってきます。特に日本企業に根付いている文化を考えると、まずは社内活動でのco-creationに取り組んでコツをつかんだあと、消費者とのco-creationにもっていった方がよいのではないかと考えています。

2012年7月5日木曜日

自分だけのデザインジーンズをカスタムできる『Getwear』

体験による差別化は、co-creation(コ・クリエーション)が最も重要視しているポイントの1つ。『Getwear』はそれを実現しているデザインジーンズのECサイトです。



















大量に生産して、大量に消費するという市場は、アジアを中心に今後も続く傾向であるとは思いますが、一方で「自分だけの」というニーズが増えてきていることも事実で、『Getwear』では、そうしたニッチなニーズに応えるためにウェブを使って自分だけのデザインジーンズをつくることができる仕組みを提供しています。

ジーンズの形や生地の色、ポケットやジッパーなどの基本的なデザインの他、ハサミを使って切り刻んだり、ペンキで汚したり、ピストルで穴をあけるなんてこともできるようになっています。試作は登録不要で、サイトにいけば簡単に体験できるようになっています。


















以前、『Shoes Of Prey(シューズ・オブ・プレイ)』というサイトをご紹介しましたが(記事はこちら)、”自分好み”というニッチなニーズに対して一部の人だけに応えるのではなくて、デザイン部分を消費者に委ね、それぞれが自分らしさを手に入れることができる仕組みの提供というのは、これからのECのひとつの形でもあると思います。

「ねぇ、ちょっと見てよ。このジーンズ私がつくったの。ここはちょっと失敗しちゃったけどね。」と、いうデザインの悪さも話題になってしまうほど、”自分がつくったという体験”は製品に強力なバリューを与えます。
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