どんな商品を作ったら売れるのか、どんな商品が求められているのか。
この答えを求めて今この時間も、明日も、来月も、来年も、恐ろしいくらいの時間が費やされていって、ようやく生まれた商品のほとんどが短期間で消えていく。これまでずっと繰り返してきたことであって、まあ商品開発とはそんなもんだ。そもそもそれが商売というもんだ。と言われると、そんな気もしますが、でもどこか引っかかりを感じる。これをずっと続けるのかという。
経済が成長して生活が豊かに便利になっていく中で、ワクワクできることは確実に減っていってしまってると感じていて、例えばインターネットを使えば1万Km先のパリの様子を知ることができるようになった反面、世界遺産はYoutubeで見た景色の再確認の場所になってしまった。昭和の大横綱千代の富士が「飛行機に乗れる」ということで入門を決意したみたいなことや、高校生がエロ本欲しさに友達と自販機へ向かうようなことはもうないわけですよ。
そんなことで "ワクワクできていた" 幸せな時代はとっくに終わってしまった。手軽に"ある程度の満足"が得られる時代にどうやって人の満足を満たしていくのか。テレビに空気清浄機が付く商品開発のプロセスは見直さないといけないんじゃないかと思うわけです。co-creation(共創)的なものに。
『COLORFUL BOARD』は、流行をみんなで創ろう!というメッセージのもと、Tシャツのデザインと売れ筋の発掘をユーザーに委ねて、COLORFUL BOARD自体はその生産と販売に力を注ぐという共創の教科書的なウェブサービス。現段階ではTシャツのデザインを共創の対象にしていますが、将来的には他の製品のデザインにも対応していくのではないかと思います。
アワードという単位でデザインを募集していて、自分のデザインを投稿したり、気に入ったデザインに対していいね!やポイントをスコアリングすることができます。こうした評価だけに参加する人へのインセンティブとしては、いち早く人気のデザインを見抜いた人にポイントが付与される仕組みがあり、このポイントは商品を買う時に使用できるようになっています。
スコアリングは、単に数字の積み上げでなく独自の集計方法を採用していて、目利きのユーザーの評価ほど高く集計されるそうです。そうして総合的に判断された人気のデザインの中から製品化がされます。デザインした人は、1つ売れる毎に500円が得られるというインセンティブがあります。
デザインは、Tシャツの差別化ポイントですが、どんなデザインが求められているのかについて自分たちだけでは分からない。分からないから、ソーシャルデザインプラットフォームを作って、その発見のプロセスに購入"予定"者を参加させるという考え方には、他の製品にも使えるヒントがあると感じました。